3.「日本語にもともとある言葉なのに、それでも外来語で表現する場合も少なくない。それはどうして でしょうか?」ということですが、次のことが考えられます。
(1)意味が全く同じではないので、外来語を採用した。
トイレットペーバー:私が小さい頃(60年ほど前)は古い新聞紙で拭いていましたが、その際は「新聞紙」とは言わず「便所紙(べんじょがみ)」と言っていました。その後四角い柔らかい紙を使うようになって「塵紙<ちりがみ>」と言い始めた気がします(「便所紙」とも)。ロール式塵紙(トイレットペーバー)が外国から入って来てからは、その発音のまま(外来語として)使っています(普通の塵紙もまだ使っており、また直訳の「便所紙」だと普通の塵紙と同じ意味なので)。ちなみにtoilet paperの特徴を捉えて「回転式塵紙」と言い換えることもできたと思うのですが、だれもそうしなかったようです。
リベンジ:英語のrevengeからですが、日本語「復讐」(漢語)や「し返し」(和語)ほど強くない場合にも使われます。たとえば野球の試合で負けたチームが「絶対リベンジしよう」には「次は頑張ろう」といった響きがありますが、「絶対復讐しよう」や「絶対し返ししよう」には物騒な(血なまぐさい)響きがあります。
(2)意味は同じだが、新しい響きが良いので(外国語はしゃれた感じに聞こえるので)外来語がよく使われるようになった。
厠<かわや>→便所<べんじょ・漢語>→トイレ<toilet英語>
宿<やど>→旅館<りょかん・漢語>→ホテル<英語>
私は普通「さじ<匙>」と言いますが、4歳下の家内は「スプーン」と言います。「桃色」と「ピンク」も同様です。
4.日本人は9世紀に漢字から片仮名を発明しました。そしてそれを外来語表記に用いることで、その部分が一つの語であることと外来語(やオノマトペなどの普通でない語)であることを明示することができます。もしそれを平仮名で書いたらかなり読みづらいと思います。たとえば「わたしはぎたあをひきます。」や「私はぎたあを弾きます」より「わたしはギターをひきます」や「私はギターを弾きます」のほうが読みやすいのではありませんか。これを中国語で書くと「我弹吉他」となりますが、「吉他」(guitar)の部分が周りと同じ漢字です。中国の人はこれでとまどわない(すらすら読める)のだろうかと心配になります。