***1.「池の尾で知らない者はない」
「ない(ある)」でもOKです。古語だからOK、idiomだからOK、というのではなく、もっと本質的な理由があります。
※ 「生物は『いる・いない』、無生物は『ある・ない』」というのは、あくまで初心者向けの説明。
***2.
「で=に+て」です。
にて、にて、にてと何度もつぶやいていると、だんだん「で」になってきます。
「に」と「で」についての私の考えは:以下の通りです。
- どちらも場所を表す助動詞。似ている。
- でも、ほとんどの場合、交換可能では【ない】
- 「に」は点、「で」は面。
これに基づき、本質問については、以下のように考えます。
OK:「池の尾で知らない者はない」
NG?:「池の尾に知らない者はない」
例:
「校内に知らない人がいる」
vs
「校内で知らない人がいる」
「音楽で生きる」 vs 「音楽に生きる」
「ドルで両替する」vs「ドルに両替する」
「この街で遊べる場所はどこ?」vs「この街には遊べる場所がない」
「ITで世界を変える」vs 「ITに世界を変える」
「世界に通用する人材」vs「世界で通用する人材」
(※ 1),2) 共に、後ほど書き加えます。)
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*** 書き加え1: 「いる」はtemprary, 「ある」はpermanently
- いる:temporary
今はその場にいるけど、しばらくしたらいなくなる状態
- ある:permanenly
誰かが動かさない限り、ずっとその場にある状態
「いる」を実現できるのは「自分で動ける何か」、つまり「動物」です(※)。
「ある」を実現するのは「動かない何か」、つまり「モノ」です。
- 「ショールームにベンツがある」
→ 誰かが動かさない限り、そこにあり続ける
3日前にもあるし、今日もあるし、3日後もある。
-「家の前にベンツが止まっている」
→ 一時的な駐車であり、そのうち、いなくなる。
一時間前にはいなかった。今はいる。一時間後にはたぶんいなくなる。
- 「台風、まだ九州にいるらしいよ」
→ 台風なので勝手に動く。
- 「バラ園にはたくさんのバラがあります」
→ 植物は生物だが、動かないので、ある、を使う。
- 「顕微鏡を覗いたら、たくさんの細菌がいた」
→ 顕微鏡で拡大すれば、グジャグジャ動いている様子が見えるので「いる」になる。
- 「腸の中にはたくさんの腸内細菌がいます」
→ 上記のイメージがあるので、細菌は「動く物」扱いされることが多い。
OK:「池の尾に知らない者はいない」
「知らない者」というman as a moving creature のbe or not を描写している。
OK:「池の尾に知らない者はない」
「知らない者」というman as a static conceptionの、exist or notを描写している。
書き加え2:
*** 「で」 and 「に」 have the smiliar meaning.
「で」=「に」+「て」, which has 「に」 in it.
「で」and 「に」 are marker for place.
「に」: target / point of your action. where you do to.
「で」: field/platform of your action. where you do.
In other word, 「に」 は点、「で」は面
(書き加え3)
**** 「に」はOKだが、「で」はNGの例文:
OK:日本に行く
→ 目的地、到達(点)
NG:日本で行く
OK: 友達に電話をかける
→ call a friend (action to the friend: 点)
NG:友達で電話をかける
→ make a call by/using a friend ????
OK: 生徒に勉強を教える。
→ Teach the students something (action to the students: 点)
NG:生徒で勉強を教える。
→ Teach by/using the students ????
OK: ここにリンゴがある。
NG:ここでリンゴがある。
※ 「どこかに着く」「誰か/何かに何かをする」「何か/誰かがどこかにある/いる」
などは、動作の対象/存在の場所が、一点に集中するので、「に(点)」を使います。「で」は使いません。
(つづく)