世界第5位の話者数を誇るフランス語は、さまざまな国で公用語として使われている世界の主要言語の1つです。日本でも多くの人が、趣味や仕事のためにフランス語を学び始めています。

人気が高い一方で、フランス語は習得するのが難しいとも言われています。フランス語を効率的に学ぶためには、難しいポイントを理解し、効果的な勉強方法を取り入れることが大切です。

この記事では、フランスに在住及び留学経験があり、フランス語学習歴10年以上の私が、フランス語が難しいと言われる理由を、リーディング・ライティング・スピーキング・リスニングの4技能の観点から解説します。

フランス語を学びたい人はぜひ参考にしてください。

フランス語が難しいと言われる理由|リーディング編

まずはリーディングの観点から、フランス語が難しいとされる理由を見てみましょう。その理由を踏まえて、おすすめの勉強方法も紹介します。

理由①:動詞の数が多い

リーディングの観点でフランス語が難しいと言われる理由の1つが、英語に比べて日常的に使う動詞の種類が多いことです。

英語の場合、1つの動詞と複数の副詞を組み合わせることでさまざまな表現ができます。そのため、動詞を1つ覚えると表現の幅が広がり、副詞のイメージでおおよその意味を推測できる場合もあります。

例:

【起きる】
get up

【(乗り物に)乗る】
get on

【(乗り物を)降りる】
get off

しかし、フランス語にはこのような表現方法がないため、それぞれの状況を説明するための動詞を個々に覚える必要があります。

例:

【起きる】
se lever

【(乗り物に)乗る】
prendre

【(乗り物を)降りる】
decendre

リーディング問題は、文章の内容を理解することが大切です。英語の場合、知らない動詞が出てきても、副詞を頼りに意味を推測できる場合もあるでしょう。

しかし、フランス語ではそれが難しく、読解力をつけるためにはより多くの動詞を覚える必要があります。この点に、フランス語学習者が苦労することも多いのです。

理由②:動詞の時制・活用パターンが多い

動詞の時制と活用パターンが多いことも、リーディングにおける難しさにつながっています。例えば、フランス語には直説法の時制だけで以下の8つがあります。

  1. 現在
  2. 半過去
  3. 複合過去
  4. 大過去
  5. 単純過去
  6. 前過去
  7. 単純未来
  8. 前未来

このほかにも条件法や接続法があり、時制は全部で14パターンあります。加えて、主語の人称によって語尾の形が変わるため、1つの動詞が計84パターンに活用変化するのです。

文章の意味を正しく理解するために、基本の時制・活用を覚えることがとても大切です。

しかし、フランス語の時制・活用パターンの多さは、フランス語学習のハードルにもなっています。

理由③:代名詞の数が多い

フランス語は英語に比べて、代名詞の種類が多くあります。

英語にはない中性代名詞というものも存在し、代名詞の使い分けはそれぞれ細かく決まっています。代名詞の使い分けは複雑なため、フランス語を難しいと感じてしまう初心者も多いのです。

英語同様、フランス語は一度出てきた固有名詞を代名詞に置き替えるのが基本です。そのため、フランス語の文章にはたくさんの代名詞が出てきます。

代名詞のルールを理解できていないと、文章中の代名詞が何を指しているのか判断するのが難しくなります。

結果として、文章全体の内容も分からないという状態に陥ってしまうのです。

リーディングのおすすめ勉強法

リーディング能力を上げるためには、まずは文法をしっかりと固めましょう。その中でも、以下の2つを習得することは、リーディング能力を上げる近道になります。

  1. 動詞の時制と活用パターンを覚える
  2. 代名詞の使い分けを理解する

動詞の時制と活用パターンを覚える際は、全部の活用を一気に覚えるのではなく、段階を踏んで勉強するとよいでしょう。

初心者の場合、仏検の5級の出題範囲を参考に、以下の4つの時制から勉強を始めましょう。

  1. 直説法現在
  2. 近接未来
  3. 近接過去
  4. 命令法

それ以外の時制は、4つの時制をマスターできてからで遅くありません。

例えば接続法大過去は、現在ではほとんど使われない時制です。こういった時制は、まず覚える必要はありません。活用パターンが多いからこそ、必要なものを見極めて学習することが大切です。

代名詞の使い分けについては、代名詞のルールを一通り理解した後、元の文章と代名詞に置き換えたものを声に出しながら交互に読むことをおすすめします。

これによって、対応する固有名詞と代名詞の組み合わせや、代名詞の語順を身体(口)で覚えられるはずです。

フランス語が難しいと言われる理由|ライティング編

続いては、ライティングにおいてフランス語が難しいと言われる理由を2つ解説します。

理由①:性・数変化のルールがややこしい

フランス語の名詞には、男性名詞・女性名詞というように性があり、男性名詞と女性名詞それぞれで異なる冠詞がつきます。

 男性女性複数
不定冠詞ununedes
定冠詞lelales

これは日本語にはない考え方とルールであるため、日本人にとって理解・習得するのが難しいと言われています。

また、名詞の性と数によって、それに関わる動詞や形容詞の末尾も形を変化させなければなりません。

例えば、形容詞「beau(美しい・きれい)」の場合、主語の名詞の性・数によって、以下のように変化します。

例:

【彼は美しい】
Il est beau.(※)

(※)男性単数は「beau」のまま

【彼女は美しい】
Elle est belle.(※)

(※)女性単数は「belle」に変化する

【彼らは美しい】
Ils sont beaux.(※)

(※)男性複数は「beaux」に変化する

こういった変化の多さが、フランス語学習者には複雑に感じるようです。

文章中の性と数を正しく一致させることは、フランス語において重要なポイントです。ライティング試験で性や数の一致を間違えると、もちろん減点対象になります。

性・数変化のルールは、フランス語のライティングを上達させるには避けて通れないポイントの一つです。

理由②:綴り字記号が存在する

フランス語には、以下のような「綴り字記号」が存在します。

綴り字記号の種類  表記
アクサン・テギュ(accent aigu)é
アクサン・グラーヴ(accent grave)à,è,ù
アクサン・スィルコンフレックス(accent circonflexe)â,î,û,ê,ô
トレマ(tréma)ï,ü,ë
セディーユ(cédille)ç
アポストロフ(apostrophe)
トレ・デュニオン(trait d’union)

これは、発音を変えたり同音異義語を識別するためなど、さまざまな目的で使われるフランス語独自の記号です。英語や日本語にはない記号なので、馴染みがなくマスターするのが難しいと言えます。

加えて、動詞の活用によって綴り字記号が消えたり変わったりすることも、学習者にはややこしく感じるでしょう。

もちろん、この綴り字記号大事な文字の1つです。ライティング試験で付け忘れたり間違えたりしたら、減点されてしまいます。ライティングでは、この綴り字記号を正しく書けるようになることも大切です。

ライティングのおすすめ勉強法

ライティング力を上げるには、以下の勉強方法がオススメです。

  • 綴り字記号までしっかりと覚える
  • フランス語で簡単な日記を書く

ライティングにおいてまず大事なのは、単語の綴りを正しく書けることです。

基本中の基本ですが、この点をおろそかにして試験で減点される人を多く見かけます。ノートで繰り返し書き取り練習して、綴り字記号までしっかりと覚えましょう。

同時に、毎日1文でもいいのでフランス語で文章を書くことをおすすめします。文章を実際に書くと、単語の書き取りではできない性・数一致の練習にもなるので効率的です。

可能であれば、書いた文章をフランス人にチェックしてもらえると、なおよいでしょう。自分では分からなかった細かなミスに気づいてもらえる場合もあります。

【関連記事】フランス語のアルファベットとは?読み方、発音記号、覚え方をわかりやすく解説

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フランス語が難しいと言われる理由|スピーキング編

続いて、スピーキングの観点からフランス語の難しいポイントを説明します。

理由①:日本語にはない発音

フランス語学習者の多くが難しいと声を揃えるのが、発音です。その理由として、日本語や英語にはない発音が多くあることが挙げられます。

よく言われるのは「R」の発音です。「R」は英語のように舌を巻いて発音するのではなく、喉の手前部分を震わせて発音します。これは英語にも日本語にもない発音のため、なかなか習得しづらい音です。

以下の動画では、実際の「R」の発音方法を紹介していますので、ぜひ聞いてみてください。

また、フランス語には母音が16個あります。母音が5つしかない日本人にとって、細かな発音の違いを理解し、身につけることは簡単ではありません。

正しく発音しないとフランス人にきちんと伝わらないことも多いため、苦労しながらも多くの学習者が必死で勉強しています。

理由②:フランス語独特の語順

もう1つの難しいポイントは語順です。フランス語の語順は基本的に英語と同じで、主語・動詞・目的語(または補語)という順番です。

しかし、代名詞は基本的に動詞の前に置くルールとなっているので、目的語の固有名詞を代名詞に置き替える場合は、その位置が変化します。

例えば以下の例文では、名詞voitureを代名詞enで置き換えていますが、代名詞enの位置は動詞の前になっています。

例文:

【私は車を持っています】
J’ai une voiture. → J’en(←代名詞) ai une.

この語順変化は英語にもないため、多くの日本人にとって馴染みがありません。

初心者のうちは「どの代名詞に置き替えるか?」「どこに代名詞を置くのか?」を頭の中で考えてから話すことになるため、話すのに時間がかかってしまいます。

代名詞による語順変化は、日本人がフランス語をスムーズに話せない理由の1つとなっているのです。

スピーキングのおすすめ勉強法

フランス語のスピーキング力を向上させるための勉強としては、以下の2つを身につけることをおすすめします。

  1. 実際に口を動かして、発音する時の口・舌の形を覚える
  2. フレーズを声に出して音読し、語順を身体で覚える

外国人がフランス語を正しく発音できないのは、正しい口の形を知らないからです。どれだけネイティブの発音を真似しても、口や舌の形が違うとなかなか同じ発音になりません

最近は多くのWebサイトやYouTubeなどで、フランス語の発音方法を詳しく解説しています。まずはそれらを参考に、アルファベットや母音の正しい発音方法を身につけましょう。

音読も、スピーキング力を上げるために効果的な勉強法です。音読を繰り返すことで、フランス語の自然なリズムや語順が身体に身についてきます。

ネイティブが話すお手本(CDなど)を聞きながらやると、より正しいリズムや発音に近づけるはずです。

ある程度力がついてきたら、シャドーイングネイティブとの会話練習を取り入れてみましょう。ネイティブの話すスピードやリズムを実際に体感することも大事です。

【関連記事】【保存版】フランス語会話の例文集!シーン別にご紹介

フランス語が難しいと言われる理由|リスニング編

最後はフランス語のリスニングが難しいと言われる理由について解説します。

理由①:フランス語独自の発音ルールがある

先ほどのスピーキング編では、日本語にない発音がフランス語を難しいと感じる理由の1つだとお伝えしました。

フランス語の発音が難しいと感じる理由はもう一つあり、それは「フランス語独自の発音ルールがあること」です。これは、「リエゾン」や「アンシェヌマン」と言われるものです。

リエゾンとは「単独では発音しない子音を、直後に続く母音とつなげて発音する」というルールで、アンシェヌマンは「単独でも発音する子音が、直後に母音とくっついて発音される」ルールを指します。

【リエゾンの例】
mes:メ
mes amis:メザミ(「amis」の「a」とくっついて、単独では発音しない「mes」のsを発音する)

【アンシェヌマンの例】
Il:イル
Il arrive:イラリブ(イル アリブではなく、「l」と「a」がくっついて発音される)

つまり、単語単体の時と文章とでは、発音が変わる場合があるのです。この発音ルールがリスニングを難しくさせています。

理由②:フランス語自体に聞きなじみがない

フランス語のリスニングが難しい理由には「フランス語に聞き馴染みがない」ことも挙げられます。

日本で暮らしていると、周りにフランス語を話す人がいない限り、フランス語を耳にすることはほぼありません。英語とは異なり、日常生活でフランス語の単語やフレーズに出会う機会はほとんどないのです。

そのため、日本人にとってフランス語は、英語より日常的に親しみにくい言語であり、フランス語を聞き慣れていないという事実があります。

このような事情も、日本人がフランス語を難しいと感じる1つの理由なのです。

リスニングのおすすめ勉強法

リスニング能力を向上させるためには、以下の3つを意識すると良いでしょう。

  1. 語彙やフレーズは「文章」で覚える
  2. 音読練習で、単語やフレーズの正しい発音を身につける
  3. リスニング量を増やす

単語帳などで勉強していると、単語単体・イディオム単体で覚えてしまいがちです。

しかし、文章の中では単語やイディオムの発音や聞こえ方が若干変わることがあるので、文章の中にある単語やイディオムを聞き取る力をつける必要があります。単語やイディオムは例文と一緒に覚えるようにするなど、工夫して覚えるようにしましょう。

また、正しい発音を覚えることも大切です。

「それってスピーキングの勉強じゃないの?」と思う人もいるかもしれません。しかし、正しい発音を知らない単語はリスニングで聞き取れないので、リスニングにおいても発音は大事なポイントと言えます。

そして、何より大事なのが、リスニング量を増やすことです。

フランス語を聞き慣れてないことがフランス語を難しいと感じる大きな原因であるため、リスニング量を増やしてフランス語に耳慣れさせていきましょう。

フランス語の難しさはネイティブから直接教わって乗り越えよう!

フランス語を学習するのは決して楽なことではありません。難しい部分もたくさんあるので、一人で勉強していると挫折してしまいがちです。

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まとめ:フランス語の難しい側面はポイントを押さえれば克服可能!

習得が難しいフランス語ですが、この記事で紹介した勉強法を踏まえて効率的に学習に取り組めば、決してマスターできない言語ではありません。

この記事で紹介した4技能別のおすすめ学習方法は以下のとおりです。

【リーディング】

  • 動詞の時制と活用パターンを覚える
  • 代名詞の使い分けを理解する

【ライティング】

  • 綴り字記号までしっかりと覚える
  • フランス語で簡単な日記を書く

【スピーキング】

  • 実際に口を動かして、発音する時の口・舌の形を覚える
  • フレーズを声に出して音読し、語順を身体で覚える

【リスニング】

  • 語彙やフレーズは「文章」で覚える
  • 音読練習で、単語やフレーズの正しい発音を身につける
  • リスニング量を増やす

フランス語の習得は1日で完成するものではないので、日々コツコツと、楽しみながら勉強できるよう、自分なりに工夫しながら続けていきましょう。

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