イギリス英語の発音を学ぶと、アメリカ英語との違いに戸惑った人も多いのではないでしょうか。イギリス英語の発音は、アメリカやカナダなどと異なる点がさまざまあるものの、むしろ日本人は理解しやすい特徴もあります。

そこで本記事では、TOEIC915点、イギリス人の夫と結婚して8年目の筆者が、イギリス英語の発音の特徴を7つ解説します。

記事の後半ではイギリス英語のお勧めの練習方法を3つ紹介しているので、発音に苦手意識のある人はぜひ最後までご覧ください。

【子音】イギリス英語の発音の特徴4選

イギリスの正式名称はUnited Kingdom of Great Britain and Northern Irelandで、以下の4つの国から成り立っています。

  1. イングランド
  2. スコットランド
  3. ウェールズ
  4. 北アイルランド

イギリス英語の発音には各国にそれぞれの特徴があり、それ以外にも労働者階級が使うコックニー、キングス・イングリッシュ(イギリス標準英語)、オックスフォード大学などの名門校で使われるRPアクセント(Received Pronunciation)などがあります。

ここではイギリスの国営放送局BBCで話される、RPを基準として発音の特徴をご紹介します。

特徴①:「/r/」は直後に母音が続く場合のみ発音される

イギリス英語の発音で特徴的なのは「/r/」の発音です。基本的に、「/r/」は直後に母音が続く場合でのみ発音されます。

  • red
  • dream
  • run
  • write

これらの英単語がその一例です。

加えて、「母音 + r + 子音」または「単語が/r/で終わる場合」は発音されません。その一例は以下の通りです。

  • girl
  • farm
  • turn
  • car

アメリカ英語の場合は、逆にどれだけ早口で話しても、「/r/」の音を落とすことはありません。常に必ず発音される音なので、この違いは最初に覚えておきましょう。

特徴②:「t」の発音が強い

イギリス英語では、語頭でも語中でも、「/t/」の発音をしっかりとします。語頭の「/t/」は、唾が散るくらい強くはじく破裂音です。該当する単語の一例は以下の通りです。

  • twitter
  • together
  • tonight
  • twenty

このほか、母音に挟まれた「/t/」も、アメリカ英語のように逃したりしません。

  • water
  • letter
  • city

アメリカ英語では、「/t/」はしばしば「/d/」として発音されます。また、矛盾するようですが、コックニーなどの地方方言では「/t/」の発音が消えてしまう点も覚えておきましょう。

  • scottish
  • button
  • water

該当する単語は上記などが挙げられます。

特徴③:「l(エル)」の発音に使い分けがある

イギリス英語の「l(エル)」の発音には2つの「/l/」が存在し、それぞれ「明るい/l/」「暗い/l/」と呼ばれます。

発音は「明るい/l/」のほうが簡単です。明るい「/l/」は、直後に母音が来る場合に発音されます。

  • love
  • england
  • lake
  • actually

上記などが該当しますが、この発音はクリアではっきりとしています。

次に「暗い/l/」ですが、こちらは直後に子音が続く場合、または語末が「/l/」の場合に発音されます。該当する単語は以下の通りです。

  • cansel
  • all
  • middle
  • difficult

ちなみに、アメリカ英語ではほとんどが「暗い/l/」で発音されています。

特徴④:「/t」「d」「n/」の後の「/j/」が発音される

発音記号「/j/」は、カタカナで言えば「ィユッ」のような音です。

これは音節の頭子音にのみ出現し、通常は脱落します。ただし、イギリス英語では歯茎音の「/t」「d」「n/」が入ると、発音されます。該当する単語の一例は以下の通りです。

  • new[njúː]
  • tune [tju:n]

ただし、「/j/」の音は破擦音化して、「[tʃ]」の発音に変化することがあります。

一方、アメリカ英語では「/j/」は発音されません。

  • new[núː]
  • tune [tu:n]

【母音】イギリス英語の発音の特徴3選

次に、イギリス英語の母音の発音を解説します。母音は全ての英単語に必ず入っている重要な音です。

しっかり練習してコツを掴みましょう。

特徴①:母音を短く発音する

イギリス英語はアメリカ英語に比べて、母音の発音が短い傾向にあります。その結果、文全体が早口に聞こえるため、聞き取りが難しく感じるのです。

  • hat
  • car
  • there
  • tomato

これらの単語などは、発音の違いを特に意識してみましょう。

特徴②:「ア」の母音は複数の発音がある

英語の発音で日本語の「ア」に近い音は以下のものがあります。

  • /a/の音である[ɑː] [æ]
    cat /kæt/
    apple /ˈæp.əl/
  • /e/の音の[ə]
    just /dʒəst/
    people /’piːpəl/
  • /o/の音である[ɒ],[ɔ:/]
    more /mɔː/
    talk /tɔːk/
  • /u/の音の[ʌ]
    come /kʌm/
    become /bɪ’kʌm/
  • 外来語/æ/
    pasta /ˈpæs.tə/

アメリカ英語の「[æ]」は、「エ」と「ア」が混ざった音がするため間延びしたように聞こえますが、イギリス英語は単純な1音で「ア」と聞こえるので、その分早く聞こえるでしょう。

なお、[ɒ]は辞書では[ɔ]と表記される場合もあります。

特徴③:「オ」の母音は3つの使い分けがある

「/o/」の発音は、以下の3つに分けられます。

  1. [ɔ:]
  2. [əʊ]
  3. [ʃɔ:]

「[ɔː]」はopen-oと呼ばれ、口を大きく開けて出す音です。アメリカ英語では「[ɑ:]」の発音です。

  • call /kɔːl/
  • water /ˈwɔːtə/
  • important /ɪmˈpɔːtənt/

「[əʊ]」は「オゥ」に近い音で、母音が二つ続くように聞こえるため、長く感じます。アメリカ英語では「[oʊ]」となります。

  • go /gəʊ/
  • know /nəʊ/
  • so /səʊ/

「[ʃɔ:]」はもともと「[ʃʊə]」の発音だったものの、「/ʊə/」の部分が「/ɔ:/」となり、最終的に「[ʃɔ:]」に変化したものと考えられています。

  • sure /ʃɔːr/

アメリカ英語では[ʃɚ:]等になります。

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イギリス英語の発音におすすめな練習方法3選

アメリカ英語に比べて「/r/」や「/t/」が発音しやすいイギリス英語は、これらを苦手とする人にとってはむしろ好都合かもしれません。

ここでは、イギリス英語の発音におすすめな練習方法を3つ紹介します。自身にぴったりな学習方法を見つけて、イギリス英語をマスターしましょう。

おすすめ①:イギリス英語のドラマや映画を見る

イギリス英語のドラマや映画を見るのは、イギリス英語の発音を学ぶファーストステップとして最適です。

発音が特徴的なイギリス英語は、耳で聞いて慣れることから始めたほうが良いでしょう。

ドラマや映画なら、実際に現地で話されているリアルな言い回し・言葉遣いを学べるので、ストーリーそのものを楽しみながらイギリス英語の発音を学べます。

イギリス英語を始めたばかりの方であれば、以下の映画がおすすめです。

  • ブリジット・ジョーンズの日記シリーズ(Bridget Jones’s Diary)
    ヒュー・グラントのオックスフォードアクセントがチャーミングです。

  • ハリーポッターシリーズ(Harry Potter)
    ハグリッド役のイギリス英語はWest countryの田舎のなまりを話しています。

  • チャーリーとチョコレート工場
    お子さまも一緒に楽しめる世界的名作。アメリカ人のジョニーデップは作品内でイギリス英語を使っています。

字幕を使って聞き取りの練習をするのも効果的なので、まずはイギリス英語に触れる機会を増やすことから始めましょう。

おすすめ②:イギリス英語を発声練習してアウトプットする

インプットだけでは上達しないため、実際にイギリス英語を発声練習してアウトプットもしていくことが重要です。

先ほど同様、ドラマや映画の字幕付きワンシーンを使い、実際に話す練習をしても良いでしょう。インプットとアウトプットを繰り返すことで、発音は確実に上達します。

テキストを追いながらシャドーイングしたり、オーバーラッピングやディクテーションをするなど、さまざまな方法でアウトプットをしていきましょう。

おすすめ③:イギリス人講師から実践形式で学ぶ

イギリス英語の発音を本気で上達させたい方には、イギリス人講師から実践形式で学ぶのが最もおすすめです。

ドラマや映画はリアルな会話を再現するものではないため、学ぶことにも限界があります。一方、イギリス人講師から直接学べば、自身のスキルレベルに合わせて学習を進められるだけでなく、疑問点などはその場で解決できます。

「習うより慣れよ」という言葉があるように、発音は繰り返し実践して学ぶのが効率的です。

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まとめ|イギリス英語の発音の特徴を理解して学習効率を高めよう

イギリス英語の発音には、子音と母音でさまざまな特徴があります。子音の特徴は以下の通りです。

  • 特徴①:「r」は直後に母音が続く場合のみ発音される
  • 特徴②:「t」の発音が強い
  • 特徴③:「l(エル)」の発音に使い分けがある
  • 特徴④:「/t」「d」「n/」の後の「/j/」が発音される

母音の特徴は以下の通りでした。

  1. 特徴①:母音を短く発音する
  2. 特徴②:「ア」の母音は複数の発音がある
  3. 特徴③:「オ」の母音は3つの使い分けがある

イギリス英語の発音は、アメリカ英語に親しんでいる人ほど真似するのが難しく、習得するのに苦労します。

本記事で紹介したおすすめの練習方法も参考にして、アウトプットや実践形式でイギリス英語を学んでいきましょう。

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