相手を誘ったり、何かをお願いする時、フランス語でどのように言えばいいのでしょうか。

これらは全て「命令形」で表現できます。

「命令形」と聞くと相手に指示するというイメージを抱きがちですが、命令形でできる表現は幅広く、日常会話でも良く使います。だからこそ「命令形」はできるだけ早いうちにマスターしておきたいもの。

この記事では、フランスに在住及び留学経験があり、フランス語学習歴10年以上の私が、フランス語の命令形の使い方や作り方、語順や注意点を詳しく解説します。

フランス語の命令形とは

日本語や英語の命令形に当たるフランス語は「命令法」と呼ばれますが、この記事では分かりやすいように「命令形」という呼び方に統一したいと思います。

命令形と言っても、「〜しろ」と相手に指示するような命令するだけの表現ではありません。フランス語の命令形では、以下の3つの表現ができるのです。

  1. 命令:〜して、しろ
  2. 勧誘:〜しよう
  3. 依頼:〜してもらえますか?

それぞれの表現を例文で見てみましょう。

例:

【お水をちょうだい】
Donne-moi de l’eau.

【映画を見ようよ】
Regardons un film.

【事前に資料をお送りいただけますか?】
Veuillez nous envoyer vos documents à l’avance.

これらの例文は、すべてフランス語の命令形で作られています。

例文からもわかる通り、命令形は友達や家族の間ではもちろん、ビジネスでも使える表現方法なのです。

フランス語の命令形の作り方と例文

それでは、具体的にフランス語の命令形の作り方を解説していきます。

フランス語の命令形は、直説法現在の二人称単数・一人称複数・三人称複数の文章の主語をなくすことで作られます。

二人称単数・一人称複数・三人称複数のどれを使うかによって、次のように意味が変わります。

  • 二人称単数:命令
  • 一人称複数:勧誘
  • 二人称複数:依頼

以下に、肯定文と命令文の2パターンの例文を用意しました。それぞれを見比べながら、どのように命令文を作るのかを理解しましょう。

<二人称単数の場合>

肯定文の例:

【君は食べます】
Tu manges.

命令文の例:

【食べなさい】
Mange.

肯定文から主語「Tu」を取ることで、命令を意味する文に変化しています。

<一人称複数の場合>

肯定文の例:

【私達は食べます】
Nous mangeons.

命令文の例:

【食べましょう】
 Mangeons.

主語「Nous」を取ることで、勧誘を意味する文章に変化します。

<二人称複数の場合>

肯定文の例:

【あなたは食べます】
Vous mangez.

命令文の例:

【食べてください】
Mangez.

主語「Vous」を取ることで、依頼を意味する文章に変化しています。

例文で気づいた方がいるかもしれませんが、二人称単数の命令形を作る時は、主語とともに動詞の語尾の「s」も取ります。

これは第1群規則動詞(er動詞)と動詞「aller」について適用されるルールです。以下に動詞「aller」の命令形の例文も3つ載せていますので、参考にしてください。

例:

【君は行きます】
Tu vas.

【行け】
Va.(※)

動詞の語尾の「s」を取ります

【私達は行きます】
Nous allons.

【行こう】
Allons.

【あなた達は行きます】
Vous allez.

【行きなさい】
Allez.

二人称単数の「s」の脱落は、命令形を作る時についつい忘れてしまいがちなポイントなので注意しましょう。

第2群規則動詞(ir動詞)と第3群動詞の命令形

第1群規則動詞(er動詞)と動詞「aller」では、二人称単数の命令形で動詞の語尾の「s」が脱落する、というルールをお伝えしました。

しかし、それ以外の第2群規則動詞(ir動詞)とaller以外の第3群動詞では、二人称単数から作る命令形で動詞の語尾の「s」が消えません。

例:

【君は宿題を終わらせます】
Tu finis tes devoirs.

【宿題を終わらせなさい】
Finis(※) tes devois.

動詞「finis」の語尾の「s」は消えません

動詞の種類によってルールが異なるというややこしさはありますが、命令形を作る上での大切なルールなので覚えておきましょう。

Avoir / être /  savoir / vouloirの命令形

次の4つの動詞は、直説法現在ではなく、接続法現在の活用形を元にして命令形が作られる例外パターンです。

  1. avoir
  2. être
  3. savoir
  4. vouloir

直説法現在、接続法現在、命令形の動詞の活用を以下の表にまとめました。

二人称単数一人称複数二人称複数
avoir直説法現在aiavonsavez
avoir接続法現在aiesayonsayez
avoir命令形aieayonsayez
être直説法現在essommesêtes
être接続法現在soissoyonssoyez
être命令形soissoyonssoyez
savoir直説法現在saissavonssavez
savoir接続法現在sachessachionssachiez
savoir命令形sachesachonssachez
vouloir直説法現在veuxvoulonsvouelez
vouloir接続法現在veuillesvoulionsvouliez
vouloir命令形veux
veuille(※)
voulonsvoulez
veuillez(※)

※どちらの形も可能

ちなみに、表では全ての動詞の命令形3パターンを記載していますが、「savoir」と「vouloir」は基本的に以下のパターンしか使いません。

  • savoir:sache(命令)、sachez(依頼)
  • vouloir:voulez / veuillez(依頼)

例:

【こういった問題があることを知っておいてね】
Sache que ces problèmes existent.

【よろしければ、こういった問題のこともご承知おきください】
Sachez que ces problèmes existent.

【よろしければパーティーにご参加ください】
Veuillez vous joindre à la fête.

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フランス語の否定命令形の作り方

続いて、否定命令文の作り方を解説します。否定命令文を使うと、以下の3つの表現が可能になります。

  1. 禁止:〜するな
  2. 勧誘:〜しないでおこう
  3. 依頼:〜しないでください

否定命令文は、肯定命令文の動詞の前後を「ne」と「pas」で挟むだけで簡単に作れます。

例:

【食べろ】
Mange.

【食べるな】
Ne mange pas.

【食べましょう】
Mangeons.

【食べないでおきましょう】
Ne mangeons pas.

【食べてください】
Mangez.

【食べないでください】
Ne mangez pas.

否定命令文も日常会話でよく使う表現なので、作り方を覚えておきましょう。

フランス語の命令形は補語の位置と語順に注意

ここでは、目的補語がある場合の命令形の語順やルールについてご紹介します。

命令形の場合、目的補語が名詞か人称代名詞かで語順のルールが変わるため、それぞれのパターン別に解説していきます。

目的補語が名詞の場合

直接目的補語が名詞や固有名詞の場合、肯定文と同じく、命令文でも動詞の後ろに直接目的補語を置きます。

例文をみながら、肯定文と命令文の直接目的補語の位置が変化していないことを確認してください。

例:

【私はこのプレゼントを贈ります】
Je donne ce cadeau.

【このプレゼントを贈って】
Donne ce cadeau.

【このプレゼントを贈りましょう】
Donnons ce cadeau.

【このプレゼントを贈ってください】
Donnez ce cadeau.

間接目的補語の場合も同じく、動詞の後ろに間接目的補語を置きます。

例:

【君は東京に行きます】
Tu vas à Tokyo.

【東京に行け】
Va à Tokyo.

【東京に行きましょう】
Allons à Tokyo.

【東京に行ってください】
Allez à Tokyo.

目的補語が名詞や固有名詞の場合は、肯定文と変わらないため難しくないでしょう。

目的補語が人称代名詞の場合

目的補語が人称代名詞の場合は、注意が必要です。

前提として、肯定文における人称代名詞は動詞の前に置くルールとなっています。

例:

【私はあなたを連れていきます】
je vous(←人称代名詞) emmène.

しかし、命令形の場合、人称代名詞は「-(ハイフン)」で動詞の後ろにつなげるルールとなります。

さらに、人称代名詞「me」と「te」については、それぞれ「moi」と「toi」と形が変化します。

これは、直接目的補語人称代名詞・間接目的補語人称代名詞のいずれの場合も同じです。

直接目的補語人称代名詞の例:

【私を連れていって】
Emmenez-moi.

【黙って】
Tais-toi.

【彼女を見て】
Regarde-la.

【一緒にそれを食べましょう】
Mangeons-le ensemble.

【私たちの話を聞いてください】
Ecoutez-nous.

間接目的補語人称代名詞の例:

【私に電話してください】
Téléphonez-moi.

【彼女に話しかけて】
Parle-lui.

【彼らに聞いてみましょう】
Demandons-leur.

また、間接目的補語と直接目的補語の両方が存在する命令形の場合、直接目的補語人称代名詞→間接目的補語人称代名詞の順番に「-(ハイフン)」でつなげていきます。

例:

【あなたはそれを彼にあげます】
Vous le lui donnez.

【それを彼にあげてください】
Donnez-le-lui.

否定命令文の場合

否定命令形の場合は、名詞でも人称代名詞でも目的補語の位置は通常の文と変わりません。つまり、名詞の場合は動詞の後ろ、人称代名詞の場合は動詞の前に置きます。

次の例文は、通常文→命令文→否定命令文の順に変化させています。

例①:

【私はリンゴを食べます】
Je mange une pomme.

【リンゴを食べなさい】
Mange une pomme.

【リンゴを食べるな】
Ne mange pas de pomme.

例②:

【私はそれを食べます】
Je la mange.

【それを食べなさい】
Mange-la.

【それを食べるな】
Ne la mange pas.

否定命令文の目的補語の位置は通常の文と同じ、と覚えておきましょう。

フランス語の命令法過去とは

命令法過去」という命令文の形もあるので紹介します。

「命令法過去」は、未来のある時点までに動作が完了しているように命令・勧誘・依頼する表現です。

命令法過去は「avoir」または「être」の命令法現在+過去分詞という形で作られます。

例文で見てみましょう。

例:

【私が戻ってくる時までに、この本を読んでおいて】
Aie lu ce livre quand je reviendrai.

【フランスに行く前にこの仕事を終わらせましょう】
Ayons terminé ce travail avant d’aller en France.

命令法過去という名称ですが、未来のことについて命令する表現と覚えておきましょう。

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フランス語の命令形は会話形式で学ぶのがおすすめ

命令形は日常会話でもよく使うので、しっかりと身につけておきたい表現方法です。

命令形の作り方やルールを理解できたら、実際に会話の中で使いながらブラッシュアップしていきましょう。

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まとめ:フランス語の命令形を使ってより深いコミュニケーションを取ろう

この記事では、フランス語の命令形は以下の表現ができ、日常会話でもビジネスでも幅広く使えることをお伝えしました。

<肯定命令文>

  • 命令:〜して、しろ
  • 勧誘:〜しよう
  • 依頼:〜してもらえますか?

<否定命令文>

  • 禁止:〜するな
  • 勧誘:〜しないでおこう
  • 依頼:〜しないでください

ただし、動詞のグループや目的語によって形や語順が変化するので、その点をしっかりと理解する必要があります。

命令形を使えば、勧誘や依頼などさまざまな表現ができ、友人や同僚とより深いコミュニケーションを取れます。

ぜひ命令形の作り方・使い方をマスターして、より楽しく、充実したフランス語ライフを過ごしてください。

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