「自然なフランス語を話せるようになりたい」という目標を持つフランス語学習者も多いはずです。

その目標を達成するための一つの通過点が、人称代名詞を使えるようになることだと筆者は考えます。

フランス語は英語と同じように、一度出てきた名詞は代名詞で置き換えるのが一般的です。そのため、人称代名詞も会話や文章で数多く出てきます。

つまり、フランス語でより自然なコミュニケーションを行うためには、人称代名詞は避けては通れない存在なのです。

この記事では、フランスに在住及び留学経験があり、フランス語学習歴10年以上の私が、人称代名詞の種類や語順のルールなどを詳しく解説します。

フランス語の人称代名詞とは

まずは人称代名詞とはどういうものなのか、その概念を理解しましょう。

人称代名詞とは、名詞や名詞句の代わりに用いられる代名詞の一種です。日本語でも、人の名前の代わりに「私」や「彼」という言葉を使いますが、これが人称代名詞です。

日本語の人称代名詞の例:
私、彼、彼女、君、あなたたち、彼ら

フランス語の人称代名詞の例:
me, te, lui, le, vous, nous

日本語の人称代名詞は人を表す代名詞と定義されていますが、フランス語の人称代名詞人以外のモノや事を指すこともあります。

人称代名詞という名前に惑わされて「人しか表さない」と思っていると、文章の意味を正しく理解できなくなるので注意しましょう。

フランス語の人称代名詞を学ぶときのポイント

フランス語では英語と同じように、固有名詞の繰り返しを避けることが望ましいとされています。そのため、すでに出てきた名詞は基本的に代名詞に置き替えるのが自然な話し方・書き方とされています。

例:

【ジャンはピエールと再会します】
Jean revoit Pierre.

Jean le(←人称代名詞) revoit.(※)

すでにピエールが会話および文章で出てきている場合は、上記の例文のように「Pierre」を人称代名詞「le」に置き換えます。

この点をしっかり理解しておくと、「なぜ自然なフランス語を話すために人称代名詞をマスターする必要があるのか」について納得できるでしょう。

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フランス語の人称代名詞一覧

ここからは、それぞれの人称代名詞を詳しく解説していきます。人称代名詞には以下の3種類が存在します。

  1. 主語人称代名詞
  2. 補語人称代名詞(直接目的補語・間接目的補語)
  3. 人称代名詞強勢形

以下の表は、フランス語の人称代名詞を一覧でまとめたものです。それぞれの人称代名詞を学ぶにあたって、まずはこの一覧で全体像を把握しておきましょう。

主語人称代名詞補語人称代名詞|直接目的補語補語人称代名詞|間接目的補語人称代名詞強勢形
一人称・単数jeme(m’)me(m’)moi
二人称・単数tute(t’)te(t’)toi
三人称・単数il / ellele(l’)/ la(l’)luilui / elle
一人称・複数nousnousnousnous
二人称・複数vousvousvousvous
三人称・複数ils / elleslesleureux / elles

フランス語の人称代名詞①:主語人称代名詞

まずは主語人称代名詞を紹介します。

主語人称代名詞は、主語の名詞の代わりとなる人称代名詞です。日本語の「私は」「君は」にあたるものです。

フランス語の主語人称代名詞は、全部で8つあります。(※)

※三人称の場合は、単数・複数それぞれに男性形と女性形があります

主語人称代名詞
一人称・単数(私は)je
二人称・単数(君は)tu
三人称・単数(彼は・彼女は・それは)il / elle
一人称・複数(私達は)nous
二人称・複数(あなた達は)vous
三人称・複数(彼らは・彼女らは・それらは)ils / elles

主語の代わりとして文章の頭に置くため、代名詞を使う前と後で語順に変化はありません

例:

【マチューは道を歩いています】
Mathieu marche dans la rue.

【彼は道を歩いています】
Il(←主語人称代名詞) marche dans la rue.

【マリーとリサはスーパーへ行きました】
Marie et Lisa sont allées au supermarché.

【彼女たちはスーパーへ行きました】
elles(←主語人称代名詞) sont allées au supermarché.

フランス語の人称代名詞②:補語人称代名詞

続いて、補語人称代名詞を紹介します。補語人称代名詞には、以下の2種類が存在します。

  1. 直接目的補語人称代名詞
  2. 間接目的補語人称代名詞

直接目的補語人称代名詞

直接目的補語人称代名詞は、文章の中の直接目的補語にあたる名詞・名詞句の代わりとして使われます。

日本語の「〜を」にあたる部分に代わる代名詞で、以下の7つあります。

直接目的補語人称代名詞
一人称・単数(私を)me(m’)
二人称・単数(君を)te(t’)
三人称・単数(彼を・彼女を・それを)le(l’)/ la(l’)
一人称・複数(私達を)nous
二人称・複数(あなた達を)vous
三人称・複数(彼らを・彼女らを・それらを)les

直接目的補語人称代名詞は、動詞の前に置くルールとなっています。そのため、直接目的補語人称代名詞に置き換える場合は、語順の変化に注意が必要です。

例文で語順の変化を確認しましょう。

例:

【私はマリーを招待する】
J’invite Marie.

【私は彼女を招待する】
Je l’(←人称代名詞) invite.

【彼はスーパーでマリーを見た】
Il a vu Marie au supermarché.

【彼を彼女をスーパーで見た】
Il l’(←人称代名詞)a vu au supermarché.

この語順の変化は多くのフランス語学習者が苦手とするところなので、しっかりと覚えておきましょう。

間接目的補語人称代名詞

間接目的補語人称代名詞は、「私に」「君に」「彼に」のように、文章中の間接目的補語の代わりとなる人称代名詞です。具体的には「à +名詞・名詞句」の代わりとなります。

間接目的補語人称代名詞
一人称・単数(私に)me(m’)
二人称・単数(君に)te(t’)
三人称・単数(彼に・彼女に・それに)lui
一人称・複数(私達に)nous
二人称・複数(あなた達に)vous
三人称・複数(彼らに・彼女らに・それらに)leur

間接目的補語人称代名詞も、直接補語人称代名詞と同様に動詞の前に置くという語順ルールがあります。そのため、置き替える名詞・名詞句と間接目的補語人称代名詞は文章中の位置が変わります。

例:

【この本をミシェルにプレゼントします】
Je donne ce livre à Michelle.

【この本を彼女にプレゼントします】
Je lui(←人称代名詞) donne ce livre.

そして、もう一つ注意したいのが、直接目的補語と間接目的補語で形が同じ「me / te / nous / vous」です。

これらが直接目的補語人称代名詞か間接目的補語人称代名詞なのかは、文脈や動詞などから判断します。例えば、以下の例文を見てみましょう。

例:

【私は君に話しかけています】
Je te(←人称代名詞) parle.

動詞「parler」は他動詞でもあり自動詞でもあるため、動詞だけでは直接目的補語か間接目的補語かは判断できません。

しかし、文の意味を考えると、「私はあなたを話します」という直接目的補語ではおかしいことが分かります。そこで「私はあなたに話しかけています」という間接目的補語人称代名詞だと判断できるのです。

もう一つ例文を見てみましょう。

【私達は君が好きです】
Nous t’(←人称代名詞) aime bien.

動詞「aimer」は他動詞のため、直接目的補語しか取りません。そのため、この例文における人称代名詞「te(t’)」は直接目的補語人称代名詞だと判断できます。

直接目的補語か間接目的補語かで文章の意味が変わってくるため、リーディングやリスニングの際は注意しておきたいポイントです。

フランス語の人称代名詞③:人称代名詞強勢形

最後に紹介するのが人称代名詞強勢形です。

人称代名詞強勢形は、他の人称代名詞のような「私は」「私を」「私に」などとは異なり、助詞を付けない「私」「君」のような名詞単体の代名詞となります。

人称代名詞強勢形
一人称・単数moi
二人称・単数toi
三人称・単数lui / elle
一人称・複数nous
二人称・複数vous
三人称・複数eux / elles

フランス語の強勢形を使う場面としてまず挙げられるのが、主語や目的語を強調したい時です。

例:

【私は彼が好きです】
Je l’aime.

【私個人は、彼が好きです】
Moi(←人称代名詞強勢形), je l’aime.

上の例文では、主語の「je」を強調するために、人称代名詞強勢形「moi」を文頭につけています。

こうすることで、「(他の人はどうかわかりませんが)私個人は、彼が好きです」という風に、「私は」の部分を強調できるのです。

そのほかに、前置詞や接続詞の後の名詞を代名詞に置き換える場合にも強勢形を使います。

例:

【Andyの家に行きますか?】
Vous allez chez Andy?

【彼の家に行きますか?】
Vous allez chez lui(←人称代名詞強勢形)?

前置詞「chez」の後ろの名詞のため、ここでは人称代名詞強勢形「lui」を使います。

また、比較級や肯定命令文でも使うので、人称代名詞強勢形はしっかりと覚えておきたい代名詞です。

例:

【私は彼よりも日本語が上手に話せます】
Je parle japonais mieux que lui(←人称代名詞強勢形).

【私にコーヒーをください】
Donnez-moi(←人称代名詞強勢形) un café, s’il vous plaît.

フランス語の補語人称代名詞は位置と語順に注意

先ほど、補語人称代名詞は動詞の前に置くルールのため、語順が変化することを説明しました。この点は、フランス語初心者にはややこしいところだと思います。

しかし、さらに複雑なのが、一つの文章の中に直接目的補語人称代名詞と間接目的補語人称代名詞の両方が存在する場合です。

この場合の語順は厳密に決まっており、下記の①→②→③の順番に置くルールとなっています。

①一人称・二人称直接目的 or 間接目的補語②三人称・直接目的補語③三人称・間接目的補語
me, te, nous, vousle, la, leslui, leur

例:

【私はジャンにこのプレゼントを贈ります】
Je donne ce cadeau à Jean.

【私は彼にそれを贈ります】
Je le  lui donne.(※)

※「ce cadeau」を直接目的補語人称代名詞「le」に置き換え、「à Jean」を間接目的補語「lui」に置き換えています

【彼は子どもたちにこのプレゼントを贈ります】
Il donne ce cadeau à ses enfants.

【彼はあなたたちにそれを贈ります】
Il vous le donne.(※)

※「ce cadeau」を直接目的補語人称代名詞「le」に置き換え、「à vous」を間接目的補語「vous」に置き換えています

一人称か二人称か直接目的補語か間接目的補語かによって語順が変わるため、最初は難しく感じるかもしれません。

しかし、ルールはしっかりと決まっているので、覚えてしまえば案外難しくないものです。

ぜひ繰り返し練習して覚えてしまいましょう。

フランス語の人称代名詞は文章を口に出して覚えよう

人称代名詞の覚え方としておすすめなのが、元の文と代名詞に置き換えた文を交互に声に出して読む方法です。

例えば、以下の例文を交互に読み上げていきます。

例:

【私はこのプレゼントをジャンにあげます】
Je donne ce cadeau à Jean.

【私は彼にこれをあげます】
Je le lui donne.

この方法を色々な代名詞ごとに、様々な例文で繰り返しやっていくのです。すると、段々と口が慣れてきて、間違った代名詞や語順には違和感を抱くようになってきます。

ネイティブ自身も、代名詞のルールを覚えているというよりは、「そのほうが自然」だと身体で覚えているものです。

文法のルールを覚えておくに越したことはありませんが、まずは口を使って自然な語順に慣れるのが効果的です。

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フランス語の人称代名詞はオンライン会話で練習がオススメ

人称代名詞の練習として何よりもオススメなのが、会話することです。

会話は、続ければ続けるほど名詞を人称代名詞に置き換える必要が出てくるため、自然と人称代名詞を使う練習になります。

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まとめ:自然なフランス語を身につけるには人称代名詞の理解が不可欠

人称代名詞についてこの記事で解説したことをおさらいしましょう。

  • 人称代名詞とは、名詞や名詞句の代わりに用いられる代名詞の一種
  • フランス語の場合は、人だけでなく物にも使う

人称代名詞には、以下の3種類があることもお伝えしました。

  1. 主語人称代名詞
  2. 補語人称代名詞(直接目的補語・間接目的補語)
  3. 人称代名詞強勢形

人称代名詞を習得するためには、元の文と代名詞に置き換えた文を交互に声に出して読む練習方法がオススメです。

フランス語の人称代名詞は、日本語とは違うルールや複雑さを持っているため、なかなか難しい文法であることは事実です。

しかし、人称代名詞をマスターできれば、より自然なフランス語へと近づきます。ぜひ諦めずに、毎日コツコツと練習を積み重ねて習得していきましょう。

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