A 手を離せない 「(何かから)手を離す(他動詞)」の可能形の否定
可能形の「を格」(対象語)には、「が」を付加してもいいですが、「が」を使うと、下の成句と誤解されるので、他動詞可能否定の意味の場合、「を」を優先的に使います。
・ (たとえば、手摺から)手を離す意志を持っているが、(恐くて/寂しくて/物理的な理由で…)手を離すことができない。
B 手が離せない→ 「手が離せない」という成句。肯定形は使わない。
・「作業中なので、要求されたことを今は実行できない、後にしてほしい」の意味。
C 手が離れない
・ 自動詞「手が (何かから)離れる」の否定形、物理的な手の状態
・物理的な「手」ではなく、「手(=世話)が必要だ」という解釈も可能
「Bは成句、Aは他動詞〈離す〉の否定、Cは自動詞〈離れる〉の否定」が、要点(最大の違い)です。
Aは主体が「手を離す気持ち」を持ち、Cは「人の気持ちは言わず(つまり、意志は不明)、手の動きだけを描写」します。