結論として、「おられる」は、本来(歴史的には)誤用ですが、
現在では一般的に使われています。
「おる」には、謙譲語だけでなく丁重語、丁寧語等の用法も
あります。「おる」を謙譲語と考える人にとっては、尊敬の
「れる」を付けた「おられる」は誤用ですが、「おる」が
謙譲語と意識していない人にとっては、「おられる」は
自然な尊敬語として認識されています。
「おられる」を使う背景として、
1)「いる」の尊敬語として「いられる」が言いにくい
2)「(〜て)いる」の尊敬語「(〜て)いらっしゃる」では
なじまない/使いにくい場合がある。また、「(〜て)いらっしゃり」
と連用中止形にすると落ち着かない。
上記の例文は、この2)の例かと思います。
「いらっしゃる」の連用中止形を使って
「経営していらっしゃり」と言えなくもないですが、
落ち着きません。また、ここでの「いらっしゃる」は
少し女性的なニュアンスもあるかもしれません。
そこで、消去法的に「おられる」を使うことが多いように
思います。
参考:『敬語』菊地康人著(講談社学術文庫)p318-322, p329-333