JPOD101 上級オーディオブログ4第5課
川端康成(2)
そんな文学的才能に恵まれた彼ですが、たった2歳で父を、翌年は母を、7歳の頃に祖母、その三年後に姉を、遂には15歳で祖父と死に別れ、とても淋しい家庭環境の中で育ちました。この境遇は、彼の作品に多大な影響を及ぼします。
代表作『伊豆の踊子』は80年以上前に執筆された短編小説ですが、書籍で楽しむのはもちろん、六回も役者を変えて映画化されたほど人気のある作品。その主人公の青年は「孤児(川端と同じですね)」という設定で、日本では有名な観光地である伊豆を旅します。道中で出会った旅芸人の一座、とりわけ可憐な踊子の少女との温かい心の交流を通じて、孤独が癒されるという筋書き。